刈安色の大屋根
宮崎駅北側の錦本町に位置する高校グラウンド跡地に、テナントビルを計画した。県プールの建て替えに伴うPFI事業の一環で、私たちのテナントビルの他、同敷地に大学、放送局、医療飲食モールなど3つの民間事業施設が2027年春に誕生する。プールを含むこの新たな街区の中心に、競技選手の準備運動や近隣住民や学生の憩いの場としても機能する、苅安色の大屋根空間を作った。
地域の新たなアイコン
テナントの更新で内装や外観が雑多になる中、時を経ても⼈の関わりが感じられる「壁画のような」普遍的な空間を⽬指した。在来⼯法のコンクリートスラブに苅安⾊の幾何学模様を現場で転写し、重厚かつ軽快な巨大なコンクリート製庇を実現した。艶のある天井⾯に人々の活動が反射することで賑わいを増幅させ、動く壁画のような活き活きとした空間を生み出した。
検討のための原⼨モックアップ、5mの階⾼を⽀持する多層⾜場、260 ㎥のコンクリートを⼀⽇で均す左官。転写の下地を作るために多くの職⼈が尽⼒し、平滑な天井⾯を築き上げた。軒天のひび割れのようなパターンは、強靭で量感のあるコンクリートに儚さと軽快さを与えつつ、画一的な周辺建物に対して異彩を放つ手仕事感の残る仕上がりとなった。