敷地は、浅草寺から1㎞ほど北上した奥浅草。通りには靴屋や印刷工場など立ち並び、下町風情が残る。近隣住居で囲まれた角地に、園庭のない保育園を計画した。
街には様々な空白の場がある。通りの少ない路地、車の停まっていない駐車場、坂の多い街の長い階段、昼休みにのみ使われる屋上。そんな場所はこどもたちにとって格好の遊び場だ。木漏れ日ある緑の多い爽やかな雰囲気もあればビルに囲まれた少し陰気な雰囲気もある。こどもたちは多様な空間を器用に使い分けながら、身体、知識、友情、を育んでいく。
都市に接続しながら、街の一部を新たに積み上げて「街の中のまち」を築く。開放的なガレージ、本棚の並ぶ路地、雨宿りできる石段、屋根の上の空き地。都市にはありそうでない、ここにしかないまちを作れないかと考えた。